5周年記念企画以来、多忙のせいもあって記念企画シリーズを見送ってきました。多忙は相変わらずですが、国鉄、JRにおける車両の形式では「9」は特別な意味を持ち、希少価値の高い車両も少なくありません。ここを逃すとまとめて紹介する機会も当分得られないと思い、久しぶりに記念企画を立ち上げることとしました。
「9」は10進法で最後の数字。車両の形式番号は通常1から順に付けられますが、最後の数字である「9」には「特別な」という意味が含まれています。具体的には90番台、900番台形式や、○○系900番台など。また、○○9系のように末尾の「9」はある関連付けが行われています。これらの車両たちの特徴は、多くの場合において少数派であることです。一方、私鉄では900、9000番台を名乗っていても、特別な意味はない場合もあります。本特集では「9」に特別な意味を持たせたものを中心に、少数派で、一見特別形式でありそうながら、実は「9」には特別な意味を持たないものなどを扱います。ただし、あまり特別な車種に偏ったり、幅を広げすぎて散漫になってしまわないように考えていきたいと思います。
久しぶりとなる周年企画でしたが、当初の予定を超える41回となりました。5周年企画では旧形国電でも個性豊かなものを選びましたが、そういう意味では9周年企画もテーマは共通しています。9な仲間の主体を成す試験車、試作車などはどれも個性派ぞろい。大量生産されていくらでも来る電車を軽視しているわけではありませんが、「1両、1本しかない」ものや、なかなか走行シーンを見るチャンスがない車両たちの撮影はこれまでの私の活動の柱となってきたことは確かです。
1週間に1度の更新で、限られた時間では十分なことはできませんでしたが、説明文を書くための調査中に新たな発見、気づきを得たことは大きな収穫でした。
例えば、キハ91はキハ181系と制御方式が共通で、併結も可能であったこと。キハ181系の故障による車両不足で実際に唯一の冷房車キハ918が特急「しなの」に使用された実績があることは驚きでした。また、900番台は一部の例外を除いて試作車を意味するものと思っていたものが、1959年の称号規定改訂あたりを境に、それ以前のものは必ずしも試作車を意味するものではないことがわかりました。クモヤ90、91よりもクモヤ92、93のほうが先に登場していたことは、101系、153系の暫定形式であった90系、91系の存在が影響していたと考えられることは、調べている過程で初めて気付きました。
試験車や試作車は未知の世界を探る故の驚き、話題性が豊かです。しかし、近年では在来車の車体構造をそのまま利用したり、ステンレス一辺倒で、夢を掻き立てられるようなものが少ないと感じているのは私だけでしょうか。
このテキストを書いている段階で、あと2カ月強で碧電は10周年を迎えます。9周年企画はそれに届きそうになるほどのボリュームとなってしまいました。その間、本特集と「構内放送」以外の更新がほぼできなかったことが反省点です。
5周年企画でもアクセス分析を行いましたが、今回も傾向を書いておきたいと思います。
私自身は個性派車両には大きな魅力を感じますが、地味なものも多く、万人受けするものではありません。過去の周年企画との比較において、週間のアクセスが伸び悩んだのはそれを物語っているようです。
その中でも、「これを出すためにこの企画を実行した」と書いたキハ91(9)はアクセス数のトップを走っています。その他、クモヤ191系(14)や、キハ391系(23)など、私自身が貴重だと感じるものはアクセスも伸びています。比較的新しいものではED500-901(30)が善戦していますが、これは同型が機関車としてデビューすることはなく、人目に触れる機会が少なかったことから、同機を知らない皆さんの興味を誘ったことが考えられます。
一方、国鉄時代のものを除き、東日本の車両は人気が低い傾向にあります。ファンの数は首都圏周辺の方が桁違いに多いことを考えれば、碧電の閲覧者が近県を中心とした方でその多くを占めているためであろうと思われます。
また、民鉄の車両では、名鉄3790系(7)は第2位のアクセスですが、阪神、近鉄は伸び悩んでいます。阪神8901F(28)が週間アクセス最下位となることは予想していましたが、現在は他に引けを取りません。これは、一時期「阪神 8901F」で検索すると当該ページがトップでヒットしていたことがあり、いつの間にかアクセスが伸びていました。
今になってこの形式を入れるべきだったと思うものがありますが、10周年も近づくこの時期に、泥縄式に撮って来て掲載するだけの余裕はありません。現役ながら未撮影で掲載できなかったものも含め、内容を充実させることができる日が来ることを望んでいます。