二周年企画:出世した車両たち(8)で扱った団体用ジョイフル気動車「アストル」が珍しく一般急行列車「氷見ぶりアストル」に運用されました。「遅い」「高い」「古い」列車に誰が乗るのかという内容を書いてしまったことへの罪滅ぼしをと、診療受診のため東京へ向かう経路を少しひねって敦賀まで利用してみました。なお、乗車撮影は全て2003.2.1です。
乗車当日の指定席発売状況と乗車率が大きくかけ離れていることがうかがわれたため、1週間後の2003.2.8発の列車を見に行きました。
最後尾の1号車は京都まで数名の乗車でした。京都から団体さんの乗車があり、ほぼ満席になりました。発車直後、添乗員さんが「**様!、**様!」と走りまわっていました。3号車に間違って乗車してしまい、「ああ、良かった。乗っていらっしゃらないのかと思いました・・・。」と、一応一件落着しました。ほんとうにたいへんなお仕事です。
西大津で定期列車を退避するため最初の運転停車をします。ATSの警報器がキンコンキンコンと鳴っています。
西大津停車中にある方から依頼された銘板を撮影します。JR西日本の改造車は改造種車の番号まで記載されており、車両研究家にはありがたい存在です。アストルは1988年(昭和63年)の登場ですが、平成9年改造となっています。これはリニューアルを受けた際、中間車がキロ29552(キハ282049改造)からキロ29554(キロ282511改造)に差し替えらえたためです。
オリジナル色の117系が入ってきました。新快速用として1980年に登場した同車ですが、奈良線快速からも撤退し、湖西線や草津線で活躍しています。
湖西線に入ると、雪が舞い始めました。
道を譲るのは特急だけではありません。113系の普通電車までもが先行します。急行を名乗り、料金を徴収するならば、これはいけないと思いますが、少なくとも、1分でも早く目的地へ着くべき性格の列車ではないでしょう。JRさん、次回はぜひ快速でお願いします。
外が寒いせいか、このあと前面窓が曇ってしまいました。
1月最終週は強い寒気の影響で、北陸地方では大雪が降りましたが、思ったほど雪はありませんでした。遠くに琵琶湖が見えています。
展望席は運転台よりも高く、最前部からは運転操作がよく見えます。ゆっくり走るっていると思ったのですが、速度計を見たら意外に出ていました。最高速度の95km/h近くで走行中です。最近は新快速の130km/h運転など、速さに慣れてしまい、95km/hでも遅く感じてしまいます。
トンネル内で2号車のラウンジを撮ってみました。ライトがよい感じです。ご婦人方は大阪から乗車されると早速ここで弁当を広げて談笑されていました。先頭車にある展望室もフリースペースですので、ラウンジは各車にあることになります。カラオケセットは使用中止になっていましたが、使えるようにして、それを売りにしたらもっと楽しい列車になることでしょう。
1号車が団体さんでほぼ満席であった以外、2、3号車は半分以下の乗車率でした。これでも10日ほど前には満席だったのです。空席はばらばらに存在していたので、大人数のグループのキャンセルがあったとは考えにくく、やはり、指定席だけを買って乗らなかった人が少なからずいたということなのでしょうか。
2002.10.14に岡山まで走った「あすか」「なにわ」では、即日完売にもかかわらず実際の列車はかなり空いていたそうで、キャンセル待ちをされている方を見ているだけに、もし、満席のはずの列車が空席だらけで走ったとすれば、なんとも理不尽なものを感じずにはいられません。
以下に編成と京都発車後のおおよその乗車人員を示します。(1号車は定員を超えていますが、展望ラウンジにいた方をカウントしたためです。)
←氷見 キロ651551(15名)キロ29554(11名) キロ65551(35名)→ 大阪
名残惜しいですが、敦賀で降りて北陸線上りへ乗り換えます。小浜線のホームに停車中のキハ58系には電化開業をアピールするマークが付いていました。気動車たちの活躍も(撮影時点で)あと1月半です。
乗り換えの加越8号が数分遅れてやってきました。この列車も683系への置き換えが決まっていますので、485系としては最後の乗車になるかも知れません。
米原付近にはさぞかし雪があるだろうと思いましたが、高月付近までで消えてしまいました。バックに見えているのは言うまでもなく伊吹山です。
せわしいですが、名古屋まで新幹線「ひかり218号」に乗って、10分後の「しなの17号」に乗り継ぎます。
「しなの」の車中ではほとんど画像の縮小やこのファイルの編集に没頭しました。景色を楽しむくらいの余裕がなくてはいけませんね。
塩尻は雪晴れで、きれいな山々に気がなごみました。
これが今回使用した「氷見ぶりアストル」グリーン急行券と乗車券です。普通乗車券は同じ駅を2回通らない限り、運賃を通算で計算することができますが、概ね東京ー名古屋往復分の運賃で大阪から今回の道草経路で東京まで行き、東海道経由、名古屋まで帰って来ることができます。JRの運賃は600kmを超えると大幅に単価が下がるためです。また、こうすればいろいろな車両にも乗ることができます。
私も乗車記念に使用済みきっぷをよくいただいて帰ります。(最近は「乗車記念」のスタンプを押して下さるところが多くなりました。)きっぷは実際にその列車に乗り、沿線風景を眺め、車掌さんから「ありがとうございます。」とスタンプを押してもらって初めて魂がこもるものと思っています。
余談になりますが、近江塩津-敦賀は乗車券の区間外ですが、「分岐駅を通過する列車に対する区間外乗車」の対象に指定されています。近江塩津を通過し、敦賀駅で改札を出なければこの区間往復については運賃が免除となります。
今回は、旅行会社にお勤めのNさんにきっぷの手配をお願いしました。塩尻からの「スーパーあずさ8号」は指定席にしましたが、揺れが少なく、富士山がよく見えました。Nさん、よい席をありがとう!
乗車した列車は運転間際になって空席が出始めましたが、依然禁煙車は完売でした。しかし、いざ乗車してみると、かなりの空席があり、翌週はどうだろうかと、「氷見ぶり」としては今回最後の1往復となる、2003.2.8の列車を見送りに行きました。
旅行会社のツアー客用の席も解放され尽くしたであろう前日に確認したところ、禁煙1、2号車は満席、3号車で空席はばらばらに11席でした。(大阪発時点の空席を把握するため大阪→京都で調査)当日、発車35分前に駅で確認しても状況はほぼ同じでした。
今回は1号車に25名ほどの団体さん(添乗員含む)があったほかは、禁煙車に乗車したのは僅か3名ほどで、喫煙車3号車はほとんど「ご同業」風の方々であったのは1週間前とほとんど同じ傾向でした。乗車したときも3号車でタバコを吸われている方を見かけませんでしたので、禁煙席の取得は極めて困難で、やむを得ず喫煙車をオーダーされたことがうかがわれます。
号車 | 1号車(禁) | 2号車(禁) | 3号車(喫) |
車番 | キロ65551 | キロ29554 | キロ651551 |
定員 | 32 | 16 | 32 |
発売状況 | 満席 | 満席 | 空席11 |
実乗 | 25 | 3 | 8 |
満席のはずの2号車はガラガラ、3号車も発売状況との開きが10席以上ありました。新大阪駅からの乗車人員が不明ですが、直前確認によれば、京都発の時点で3号車のみ残席7でしたので、おそらく発売済みでも空いたままの席が多数あったものと思われます。(表の乗車人員は目安です。)
急行グリーン券はコレクションだけを目的として買うには少々高すぎるように思います。コレクターやそれをあてにした業者が押さえても、ジョイフルトレインの急行列車くらいでは将来高値で売れる「商品」になるとも思えません。そう考えると、なぜ発売状況と実乗にこれほど大きな開きがあるのかが不思議ですが、満席と聞いて乗車をあきらめた方がいらっしゃるとすれば、指定席券の販売方法などに改善すべき点があることは確かなようです。今後「スペシャルトレイン」に乗車しようとする方のご参考となれば幸いです。(2003.2.8)