1970年代後半、2桁形式の旧形国電は急速に103系や113系などへの置き換えが進みました。幼い頃から茶色の電車は大好きでしたが、撮りたかったオリジナル色73系は1980年1月には消滅。受験生の身ではただただ指をくわえているのみでした。やっと大学に進学した1981年以降、置き換えに問題を伴う一部ローカル線を除けば旧型国電の撮影には既に時遅しの感はあったものの、事業用車やその代用車などが各地で細々と生き延びていました。
当時情報収集力があったわけでもなく、車庫でパンタグラフを降ろしたものも多いのですが、碧電5周年の機会に所蔵の作品を引っ張り出し、オールカラーでご覧に入れたいと思います。11.5以降毎週土曜日に更新を続け、06.4.22を以て最終回といたしましたが、当分の間展示を続けます。
両数が少なく、どちらかと言えば人知れずひっそり生き残っていた旧形国電を対象とします。個性派というタイトルを掲げましたので、一見旧形には見えない形式も登場することになりましょう。ひとつの路線で営業用車両が数多く走っていた路線、形式、例えば、東海道線の80系や飯田線など、限られた回数では扱いきれないものは今回は対象外です。
1979年から20年の間に撮影した旧形国電のうち、希少性の高いものや個性的な車種を主に集めてみました。当初は15回程度の連載を予定していましたが、アルバムの中から該当するものが次々見つかり、気づけば計画の5割増を越えるボリュームになっていました。
これらは計画的に撮りつぶしをしていたわけではありませんが、改めて並べてみると、我ながらよく撮っておいたものだと思うものが何点かあります。103系、113系といった数多くの新性能車に囲まれ、戦前ものの映画から飛び出してきたような彼らは何とも表現しがたい魅力を放っていました。
我が国では電車、気動車の保存車は極めて少なく、編成単位で残されているものはほんの一部に過ぎません。旧形国電に至っては本来の編成を組めるものが皆無であるのは残念です。せめて今も残されている仲間が大切に保存されることを切に願うのみです。
特集を終えるにあたり、各回のアクセス状況について触れておきましょう。
毎年、リストの上位に掲載するものが掲載期間、目に触れやすい点でどうしても有利になります。今回もその状況に変わりはなく、最上段の3コマ(0回〜2回)のアクセスが特に多くなっています。
その他、注目される傾向としては、生粋の旧形国電よりも仙石線、身延線のアコモ改造車のアクセスが目に見えて多くなっていることが挙げられます。当時は「エセ旧国」として旧型志向のファンからは敬遠された彼らですが、今や「目標」であった103系や113系が急速に淘汰される時代となり、姿形が近い方が注目を集めたのはやや皮肉ではあります。
第13回のクエ28002もアクセスが多くなっていますが、同車だけが注目されたとは考えにくく、本題よりも後ろに写っている115系が目を引いた結果であると思われます。
塗装に着目すると、茶色塗装のウエイトが高かったせいか、たまにスカ色や湘南色を登場させるとアクセスも上がる傾向があります。ネット上での発表例も少なく、私個人としては希少性がより高いと思うものよりも、より身近な存在である車両に人気が集まったことは、旧国通の方よりも一般読者のアクセスが多かったことを表しているものと思われます。
長期間の連載におつき合いありがとうございました。