2周年記念企画:出世した車両たち(19)



■第19回:阪神電鉄 8000系リニューアル車   03.03.11UP(19.12.06更新)

9300系並に転換クロスシートを装備して直通特急にふさわしいグレードになった阪神8000系リニューアル車

●転換クロスシートを装備して直通特急にふさわしいグレードに

1998年2月、阪神電鉄と山陽電鉄の相互乗り入れによる梅田-姫路間の直通運転が開始されました。両者とも特急(料金不要)が運転されていましたが、新たに「直通特急」という種別で区別されました。山陽電鉄は5000系転換クロスシート車(一部固定クロス)が運用されていますが、阪神はロングシートの8000系、9000系が使用されました。直通特急は山陽車の比率が高くなっているために、クロスシートへの期待が大きく、阪神車が見えてくると思わず鼻にしわが寄ります。
 利用客の間でもクロスシートへのニーズは高く、長らくロングシートオンリーであった阪神が転換クロスシートを装備した新型車、9300系をデビューさせました。

●なんだあれは!?

2002年4月のある日、阪神尼崎車庫近くにある客先の事務所へ打ち合わせに行きました。会議室に通されて外を見ると、9300系と同じ塗装の車両が留置されているのが見えました。座席が転換クロスシートであることもわかります。しかし、窓の感じからして9300系でないのは明らかです。まさか・・・、8000系がクロスシートに改造されたのか?よく見ると、番号が8000番台であることがなんとか判別できます。しかし、予備知識がなかったため、あっと驚いたことは言うまでもありません。
 そして、メンバーが揃って名刺交換が始まった頃には、幸い(?)にして入れ換えによって見えなくなってしまいました。

ロングシート王国でクロスシート車に格上げ

その後のプレス発表で、1985年に登場した8000系2次車の第1編成が更新工事を受けた機会に両端の2両を除いて転換クロスシートを装備し、塗装も9300系同様に塗り替えられたものであることがわかりました。
 長年ロングシート車しか存在しなかった阪神にクロスシート化改造車が登場したのはファンにとっても驚きです。姫路まで直通の特急に使用され、それにふさわしいアコモデーションを備えたとして、出世車両に認定したいと思います。

8000系リニューアルのその後

阪神は仕事で度々利用しましたが、8000系(一部を除く)、9000系、9300系の直通特急対応編成は共通運用のため、クロスシート車が直通特急専用で使われているわけではありません。一度直通特急に入ると3時間以上戻ってこないためか、見かけるのは西宮折り返しの急行など線内運用のことが多い気がします。
 記事を公開した2003.3時点では改造車はまだ1編成でしたが、引き続き同様の改造が徐々に進められました。クロスシートへの改造は中間車4両から2両へと減らされ、さらに終盤に差し掛かると全車ロングシートのままの編成も出ました。ロングシートのままの車はもはや出世車両とは言えないでしょう。

写真:
 西宮行き急行に運用される8000系リニューアル車 2002.10.6 阪神電鉄本線 野田


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